市民型講座

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第46回:「アカデミア創薬の現状と展望」 – 薬の発見と発明の今昔 –

第46回:「アカデミア創薬の現状と展望」 – 薬の発見と発明の今昔 – 要旨:クスリの発見発明の歴史は古く、紀元前3000年にはエジプトで動植物から約800種類もの薬物が収集されたが、化学合成による創薬が始まったのは1800年代とのことです。現在でもクスリの開発には基礎研究から臨床試験を経て承認発売されるまでに膨大な費用と年月が掛かり、1千億円を掛けて50万を超える化合物が作られたが新薬に至った成功率はなんと2万分の1という統計が10年前に出ているそうです。そこで日本では医療研究開発機構が2015年度に設立され、アカデミアに向けて医薬品、再生医療、ガンなどを中心課題に置いて大規模な助成(2016年で1265億円)が行われているとの説明がありました。ご自身の研究では天然及び合成小分子を用いたケミカルバイオロジーによる創薬を目指し、スパイスに含まれるクルクミンが胃ガンに効くことを突き止めた成果などが紹介されました。また最近ではベンチャーを起業しつつ、アルツハイマー病に有効なクスリの開発を進めておられるとのことです。
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第45回:ビッグデータと人工知能によるICTが拓く一般市民の未来生活

日 時:令和元年6月21日(金) 午後6時30分から午後7時 30分講 師:川添 良幸 代表理事                要旨:人工知能は、米軍研究所が70年代に戦場で自国の兵士を死なせないことを主目的に大規模な研究がおこなわれた結果として、その基本的進展を見ました。5年に10倍という計算機ハードウエアの進展と最近の深層学習がさらに大きな可能性を拓いています。顔認証はSNSでは日常のこととなり、IBMのソフトがチェスの名人より強くなり、それは止まることを知らない勢いです。完全自動運転はともかく、事故を減らすための技術やスマートスピーカーは我々の未来を明るくしてくれる情報通信技術、ICT、について基礎技術から最近の応用までを平易にお話下さいました。
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第44回:大学における技術職 — 現状とその未来

要旨:大学には,教員,事務職員の他に,技術職員と呼ばれる人たちがいらっしゃいます。一口に技術職といってもその中身は千差万別で、工場で旋盤を回す人や実験室で仕事をされている方もいらっしゃいます。また広大な農場を管理する人や船長さん,情報技術者…と様々です。大学がこういった技術者をかかえる意味は何なのか、企業とはどう違うのか、高等教育と研究を支える技術職の現状を紹介し,その将来像についてお話下さいました。近年大学における教育・研究は多岐に渡り、高度になって来ました。そして学問と技術の関係も益々密接になり、より発展させるためには相互の連携が一層重要になりつつあります。東北大学でも総合技術部が組織され、分野の違いに合わせて柔軟に対応させていることが紹介されました。商品を作るのとは違い、優れた卒業生を送り出し、論文を発表するために教員と技術者が今後とも互いに協力して日本の将来に貢献されて行くことを期待します。
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第43回:地球温暖化と異常気象

日 時 : 平成31年1月16日 (水曜日) 午後6時30分より講 師 : 岩崎俊樹 東北大学大学院理学研究科特任教授(研究)・名誉教授               日本気象学会理事長要旨:将来が気掛かりな気候変動について、1。地球温暖化事始め、2。IPCCとCOP、3。地球温暖化の予測、4。異常気象、5。社会の選択(緩和と適応)の順で詳しくお話下さいました。東北地方でも昨年2018年7月の平均気温は平年に比べて2.8度も高く、1964年に統計を取り始めて以来最高の猛暑だったそうです。その原因は西からのチベット高気圧と東からの太平洋高気圧の日本への張り出しが共に強く、挟み撃ちにあったからとの説明でした。異常気象はその時々に局所的に起こる現象で、予測もなかなか難しく、地球温暖化は専門家にとっても重い研究課題として地道に取り組むべしとのことでした。
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第42回:融液成長で拓く未来   〜要素技術を上流から下流まで繋ぎ、速やかに実用化・社会実装へ〜

要旨:スマホに入っているICチップはシリコン、LED電球を光らせているのはガリウムと窒素の化合物です。いずれも結晶にすることで材料の純度と性能を高め、実用化を果たしています。従って新材料の開発には結晶化が重要な一歩となります。吉川先生は材料を融液状態から徐々に冷やして大型の結晶に成長させる研究がご専門です。ご講演ではレーザーに必要な光学結晶、時計に使われる振動子結晶、放射線を検出するシンチレーター用結晶、有機物結晶、各種合金結晶などを電気炉や高周波炉による加熱溶融で成長させた結果を紹介されました。またこれらの各種結晶を商品化するためのベンチャー企業の設立についても説明され、社会貢献に向けた多方面でのご活躍もお伺い出来ました。
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第41回:身近に感じる東洋医学

要旨:東洋医学と言うと漢方薬、鍼灸、按摩、などの中国伝統の医学がありますが広い意味では、イスラム圏のイスラム医学、インドのアユルベーダ、チベットのチベット医学も含まれるとのことです。鍼・灸とは全身の経穴(ツボ)に鍼やお灸をして刺激することによって気・血・水の流れが良くなり、カラダが持っている自然治癒力が高まって心身の不調が改善され、患者さんを元気にします。ツボの数は全身でなんと361箇所にあり、それぞれに名前もついて様々に関連して繋がっているそうです。ご講演では実際に鍼を参加者に見せて下さり、実習も行われて楽しい講座となりました。
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第40回:仙台市天文台、民営化10年の歩み

要旨:仙台市天文台は1955年に西公園に開館しましたが、2008年に青葉区錦が丘に移転し、新しい市民天文台が整備されました。新しい天文台はPFI方式で民営化され、10年が経ちました。新しい天文台の概要、民営化に伴う秘話、この10年間の活動などをご紹介します。合わせて、火星大接近など、今年の天文現象を簡単に紹介します。1955年、市民からの寄付により西公園に建てられた天文台でしたが観測環境の悪化と地下鉄東西線の開通に伴って10Km西の蕃山丘陵の静かな高台に移されました。公共サービスの提供を民間主導で行う方法として嘗てイギリスのサッチャー政権で導入されたPFI方式(Private Finance Initiative)が日本で始めて天文台に適用された例になりました。運営には厳格なルールや制約があるようなお話しでしたがご苦労の末、10年間で見事に市民が誇れる親しみ易い市民天文台に生まれ変わりました。施設内には口径1.3mのひとみ望遠鏡、直径25mの水平型ドームと270席を備えたプラネタリウム、展示場、大ホールの他、太陽系の大きさを実感出来る惑星広場が屋外にあります。また休憩スペースとして食事...
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第39回:スピントロニクス不揮発性素子

要旨:スピントロニクス不揮発性素子は、書き換え回数の制限がない、
通常の電源電圧で動作する、など他の不揮発性素子にない特徴を
備えており、不揮発性のワーキングメモリとして使える唯一の素子です。本講演では、その開発経緯や現状、微細化限界について述べ、
時間が許せば、このような研究開発を大学で進めるための枠組みについても触れます。電源を切っても記憶が残るのが不揮発性メモリで、東芝が開発したフラッシュメモリが有名です。パソコンや携帯にも入っている小さなエレクトロニクス素子の一つで、電子が持つ電荷を保持して記憶します。電子にはもう一つスピンと言う磁石の性質も備えており、両者を巧く組み合わせたメモリが大野先生の開発された不揮発性スピントロニクス素子です。これまで電子のスピンは扱いにくいこともあって余り活用されて来ませんでしたがナノテクノロジーの進歩もあり、電流を流すだけで小さく加工した素子に納められた磁石の向きをスピンの流れで反転させて記憶に残す新しい原理のメモリが出来上がりました。反転させた磁石は電源を切ってもそのまま保持されるので、記憶は消えません。ハードディスクと同じですがミクロンサイズな...
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第38回:2017年ノーベル医学生理学賞ー体内時計機構の激烈な競争ーその光と影

要旨:1984年にPeriod遺伝子がクローニングされた時には医学生物学研究者の間には強烈な衝撃が走った。なぜならたった一個の遺伝子上の一塩基配列の違いで生物の時計が長くなったり短くなったり、時計が止まったりしたのである。これはまさしくBenzer博士の提唱した一遺伝子一行動説を裏付ける結果であった。それではなぜこの遺伝子が生物の時計として機能するのかが次の大問題となった。この辺りの話題を過去のBenzer博士のDNAの概念での活躍から歴史も含めて解説したい。 睡眠や食事を初め、毎日の生活リズムを司る体内時計について30年も前からつくば市の産業技術総合研究所で世界に先駆けて研究を進めて来られた石田先生にお話を伺いました。生物の概日リズムについての研究では1930年代にマメ科の植物で、照射する光に変化がなくても葉が閉じることが見出されています。動物では、1970年の初めに睡眠周期の狂ったショウジョウバエ数匹が見つかり、周期を決める遺伝子がX染色体の中に存在するとわかったことで基礎研究の突破口が開けました。残念ながら発見者の1人であるカリフォルニア工科大学のベンザー(Seymour Ben...
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第37回:液晶ディスプレイの進化と今後の高品位テレビの動向

第37回:液晶ディスプレイの進化と今後の高品位テレビの動向 要旨:液晶は今から百数十年前に発見された。液体でありながら結晶のように分子が規則正しく並ぶという不思議な性質をもつものであった。そして今から50年ほど前に、低い電圧をかけると光学特性が大きく変化することが見いだされて、ディスプレイへの応用が提案された。その後これを使った電卓やワープロが生み出され、ついに今日の大型テレビに発展してきた。さらに、最近では液晶と競合する有機ELが開発され、新たな時代が始まる可能性に関心が寄せられている。基本的な現象の発見から長い年月を経て漸く応用の可能性が見えて来た頃に大学院生として液晶分子の合成から始められ、ディスプレイの実現まで突き進まれた素晴らしいご研究の一端をお伺いすることが出来ました。どんなに優れたデバイスも殆どが目か耳で動作を認識出来なければ意味がなく、肝心・要な課題を電子工学科を専門に異分野にも挑戦しつつ一心に追求された結果と拝聴しました。参加者からは、将来的なことも含めて続きのお話を是非お聞きしたいとの声もあがり、懇親会も楽しいひとときとなりました。